Stellantis220億ユーロ計上とBYD欧州工場買収交渉:西側縮小・中国拡大が交錯するEVシフト2026夏

西側減速と中国攻勢が同時進行するEV戦略の転換点

2026年夏、世界のEVシフトは「拡大一辺倒」から「選別と再編」のフェーズへ移行しつつあります。象徴的な出来事が、StellantisがFY2025下期に約220億ユーロもの戦略転換関連費用を計上し、EV一本足打法から「顧客の選択の自由」を軸にHV・先進内燃機関を含む多路線戦略へ舵を切ったことです。一方、中国BYDは欧州工場の稼働と現地M&A交渉によって、EU関税を回避しつつ本丸市場に食い込んでいます。

Stellantis:EVの旗を降ろさず「需要が命じるペース」へ

Stellantisは電動化投資を継続する一方、開発ペースは「命令ではなく需要が決める」と明言。HV・PHEV・ICEを組み合わせるマルチパスウェイに寄せた計画変更に伴い、大型の会計損失を計上しました。米国のCAFE緩和、EV補助金の見直し、欧州での2035年ICE廃止方針の柔軟化議論と歩調を合わせた動きです。

BYD:ハンガリー稼働+欧州工場M&Aで関税を無力化

BYDはハンガリー・セゲド工場で2026年1月に試験生産を開始。5月にはStellantis他と稼働率の低い欧州工場の引き受けを協議中と報じられました。EUの17〜35%の暫定EV関税を、域内生産で正面から回避する構図です。

米日勢:Ford・GMは急ブレーキ、トヨタは静かに増勢

2026年Q1、Ford EV販売は前年比▲70%の6,860台に急落。GMも投資計画を後退させ、両社は電池事業を定置用蓄電にピボットしています。対照的にトヨタはbZ/C-HR/bZ Woodlandを揃え、Q1のbZ販売は前年比+79%。Lexus RZは+206%と、マルチパスウェイの中でEVも着実に伸ばしています。

市場の読み方:2026年世界EV比率は27%、成長は鈍化

  • BloombergNEF:2026年世界新車販売のEV比率は27%見通し(5年前は9%)
  • 販売台数は2025年21.6M→2026年22.7Mと伸び率が減速
  • 補助金主導から「実需・経済性」ドリブンへの移行が鮮明

西側レガシーが投資を絞る間に、中国勢は現地生産で欧州の内側から市場を取りに来る──2026年後半のEVシフトは、地政学と収益性がぶつかる「勝ち残りの選別戦」に突入しています。

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