K字分岐するEV世界市場2026:中国・東南アジア急加速、米国失速、日本の活路
世界のEV市場が「K字型」に分断される2026年
2026年5月現在、グローバルなEV市場は一枚岩ではなく、地域によって明暗が大きく分かれる「K字型」の構造へと変化しつつある。中国や東南アジアでは電動化が急速に進む一方、トランプ政権下の米国ではEV補助金廃止の余波で新車販売に占めるEV比率が2025年第4四半期に5.2%まで急落。世界全体では販売比率が拡大を続けるも、その恩恵を受ける地域は偏っている。
中国・東南アジアでBYDが独走
世界のEV販売の約3分の2を占める中国では、新車販売の約55%がEVに達しており、量的成長から「質的競争」の段階へと移行しつつある。その中心にいるのがBYDだ。2025年にBEV世界販売首位(230万台)を達成したBYDは、海外販売を前年比45%増の約105万台へと拡大。タイでは進出3年で9万台を販売し日系ブランドの牙城を崩しつつあり、東南アジア全体でも市場の過半数を中国メーカーが占める勢いだ。日本市場では軽EV「ラッコ」の投入を準備し、国内メーカーへの圧力を高めている。
日本メーカーの戦略再編:多様化路線への回帰
欧米市場の不確実性が増す中、日本の主要メーカーはEV一辺倒からの見直しを図っている。
- トヨタ:マルチパスウェイ(全方位)戦略を深化させ、2026年春投入の「bZ4X ツーリング」は航続700km超・150kW急速充電対応。一方で全固体電池と車載OS「アリーン」へも継続投資。
- ホンダ:北米向けEV3車種(Honda 0 SUV、Honda 0 サルーン、アキュラRSX)の開発・発売中止を3月に発表。ただし2040年EV・FCV100%目標は維持し、国内では軽EV「Super ONE」を2026年内に先行発売予定。
- 日産:リーフに新グレード「B5」(55kWh、補助金適用後実質約350万円)を追加し価格ハードルを下げながら、ホンダ・三菱との戦略的提携で次世代プラットフォームと全固体電池(2028年頃実用化目標)を共同開発。
日本政府が補助金強化で対抗
米国が補助金を廃止する動きとは逆に、日本政府は2026年度CEV補助金を最大130万円へ引き上げ、2035年の乗用車新車販売100%電動化という国策目標を堅持。その効果もあり、2026年2月時点のEV・PHEV新車販売比率は3.21%(前年同月2.08%)まで上昇しており、普及に向けた地盤は着実に固まりつつある。
まとめ:地政学がEV戦略を左右する時代へ
2026年のEV市場を一言で表すなら「地政学的分断」だ。補助金政策、関税、エネルギー安全保障がメーカー戦略に直接影響する環境の中、日本メーカーには特定の地域・技術に過度に依存しない「ポートフォリオ型」の戦略が求められている。中国の量的優位と欧米の政策変動を睨みながら、日本独自の強みをどう打ち出すかが問われている。
参考情報
- Global EV market goes K-shaped as the US gets left behind | TechCrunch
- EV realism is here. How automakers react in 2026 will be telling | CNBC
- ホンダがEV戦略を見直し…三部社長「複数シナリオがなかった」 | レスポンス
- なぜ日産は黒字でホンダは赤字に?自動車5社決算 | MONOist
- BYDがテスラを抜きBEV世界シェア首位へ | Carconnect
- EV世界首位のBYD、日本市場で軽EV「ラッコ」投入 | 東洋経済オンライン
- 電気自動車(EV)の普及率は?日本2.66%・世界27.7% 最新比較【2026年5月版】 | Carconnect
- 【2026年】電気自動車(EV)の市場はどうなる?各国やメーカーの動向 | coevo
