2026年8月のEVシフト:「高嶺の花」から「日常の乗り物」へ
2026年8月、電気自動車(EV)業界は新たな局面を迎えている。価格の高さと航続距離への不安がEV普及の壁となってきた中、Fordの「モデルT宣言」とBYDの輸出攻勢が、「誰もが買えるEV」時代の幕開けを告げている。
FordがEV「モデルTの瞬間」を宣言――3万ドル小型ピックアップを発表
Fordは2026年8月11日、CEOジム・ファーリー氏がケンタッキー州で歴史的な発表を行った。同社が「Model T Moment(モデルTの瞬間)」と表現したのは、新しいEV専用プラットフォームを軸とした価格3万ドル(約450万円)の電動ミッドサイズピックアップトラックだ。
新プラットフォームは、内燃機関車とEVの双方に対応する汎用設計で、コンパクトSUVや軽商用車へも展開される見通し。バッテリーにはコスト優位性の高いLFP(リン酸鉄リチウム)電池を採用し、ミシガン州のBlueOval Battery Parkで2026年内に量産開始の予定。ピックアップトラックは2027年に発売され、Fordの赤字部門「Ford e」を黒字転換させる切り札と位置づけられている。
BYDが7月に海外販売で歴史的記録――欧州シェアでテスラに並ぶ
中国BYDは2026年7月、月間販売台数419,211台(前年比+21.8%)を記録。うち海外向けは179,841台(前年比+124.3%)と過去最高を更新し、総販売台数の約43%を占めるまでに拡大した。
2026年上半期の純EV販売でもBYDはテスラを上回り、Q2(4〜6月)では557,090台対480,126台と約16%のリードを維持。欧州市場では2026年上半期のシェアが2.4%に達し、テスラと並んで欧州市場トップの中国ブランドとなった。ただし国内需要の低迷から年間500万台目標の達成は困難な状況にある。
ホンダはEV投資を縮小――HEVへの全振り戦略へ
一方、ホンダは2026年5月にEV戦略の大幅見直しを発表。2029年度までにEVへの投資を8,000億円に縮小する一方、HEV・内燃機関への投資は4兆4,000億円に増額。「0(ゼロ)シリーズ」を含む次世代EV3車種の開発中止と、カナダの電池工場計画の無期限凍結を決定した。
まとめ:「安く・広く・確実に」がEV競争の新軸
2026年8月時点でのEV業界の潮流は、「技術の誇示」から「コスト競争力と市場浸透」へと明確にシフトしている。Fordの低価格プラットフォームとBYDの輸出拡大が示すように、次のEV覇権は「手の届く価格」をいち早く実現できたメーカーが握ることになりそうだ。
参考情報
- Ford reveals its ‘Model T’ EV moment with an affordable $30,000 electric pickup
- Ford’s Affordable New EV ‘Family’ Will Start with a Small Electric Pickup
- ‘Model T Moment’: Ford To Unveil Plans For Next-Gen EV On August 11
- BYD Sales Rise 21.8% in July as Exports Hit a Record
- BYD sales rise for third straight month on exports surge
- BYD Overtakes Tesla Again in Q2 2026 EV Sales
- ホンダがEV戦略を見直し…三部社長「複数シナリオがなかった」
- EVs stumbled in 2026, now automakers are rethinking
