BYDが世界首位奪還&GMが9000億損失:2026年夏、EV覇権地図の大転換

BYD、Q2 2026でテスラを再逆転

2026年第2四半期(4〜6月)、中国の電気自動車(EV)大手BYDが純EVの世界販売台数でテスラを再び上回り、世界首位の座を奪還した。BYDのQ2純EV出荷台数は55万7,090台に達し、テスラの48万126台を約7万台上回る結果となった。特に6月の海外販売台数は17万5,349台と過去最高を記録し、前年同月比で約95%増という驚異的な伸びを示した。BYDは欧州・東南アジア・中南米への輸出を急拡大させており、2026年通期の海外販売目標150万台に向けて快走を続けている。

GMとFordが巨額損失を計上しEV戦略を抜本修正

一方、米国の大手メーカーは深刻な打撃を受けた。ゼネラルモーターズ(GM)は2026年1月に60億ドル(約9,000億円)のEV事業損失計上を発表し、純EV集中投資路線から事実上撤退。フォードも190億ドル(約2.8兆円)の損失計上を行い、EVの生産計画を大幅に縮小してハイブリッド車(HV)ラインアップの拡充へと舵を切った。両社とも「EV一辺倒」から「HVをブリッジ技術として活用するマルチパスウェイ戦略」への転換を余儀なくされた形だ。

欧州規制の軟化とトランプ関税が市場を揺さぶる

地政学リスクも市場に影響を及ぼしている。トランプ米大統領はEUへの自動車関税引き上げを先送りしつつ燃費規制の大幅緩和方針を維持、米国でのEV普及に引き続き逆風が吹く。欧州委員会もCO2排出基準を単年ではなく3年平均での適合に緩和し、実質的なEV義務化を後退させた。一方でEUは中国製EVへの最大35%超の追加関税を維持しており、BYDの欧州展開はコスト面の課題も抱える。

二極化するEV市場:中国快進撃と欧米の試練

2026年夏のEV市場は、BYDを筆頭とする中国勢の急拡大と、欧米メーカーの戦略的後退という二極化が一段と鮮明になっている。米国のEV市場シェアは2026年も約6%にとどまる見通しで、HV販売が前年比76%増の高成長を記録。トヨタ・ヒョンデ(現代自動車)といったHVポートフォリオに強みを持つメーカーがこの局面の恩恵を受ける構図が浮き彫りとなっている。

  • BYD:Q2純EV世界首位奪還、海外販売が過去最高更新
  • GM:約9,000億円のEV損失計上、HVへ軸足を移す
  • Ford:約2.8兆円の損失計上、純EVプロジェクト大幅縮小
  • 欧州:CO2基準を3年平均化し実質的に規制を緩和
  • 米国:HV販売76%増、EVシェアは依然6%水準

参考情報

BYD「5年で世界最大」宣言とテスラ復調:2026年6月EVメーカー覇権争いの最前線

BYD、株主総会で「5年以内に世界最大の自動車メーカー」宣言

2026年6月9日、中国EV大手BYDの王伝福会長は株主総会で「5年以内に世界最大の自動車メーカーになる」と宣言し、業界に衝撃を与えた。2020年に約19万台だった年間販売台数は2025年に約460万台(約24倍)に拡大。2026年5月の中国外販売台数は16万台超と前年同月比80%増を達成し、2026年通期の海外目標150万台に向け快走している。またドイツの自動車研究機関CAMが発表した「Automotive INNOVATIONS Report 2026」では、BYDが総合イノベーションランキング1位に輝いた。

欧州での現地化加速——ハンガリー工場が鍵

欧州では2026年1〜4月のBYD市場シェアが1.9%(前年0.8%)に拡大し、英国では3.4%に達してルノーやボルボを上回った。欧州連合(EU)の対中EV追加関税(最大45%超)を回避するため、BYDはハンガリー工場を欧州製造の一極と定め、2026年第4四半期に「Dolphin Surf」の現地組み立てを開始する予定だ。

テスラがQ1 2026でEV販売首位を奪還

一方テスラは2026年第1四半期に世界EV販売で35万8,023台を記録し、BYDから首位を奪い返した。低価格モデルの拡充と自動運転機能の進化が回復を牽引しており、BYDとのトップ争いは今後も拮抗が続く見通しだ。

トヨタは「マルチパスウェイ戦略」で最高販売台数を更新

トヨタは2025年度の世界販売台数が1,047万台と過去最高を達成した。HV・PHEV・FCV・EVを組み合わせる全方位戦略がトランプ関税下でも底堅さを発揮。2026年を次世代EV本格展開の年と位置づけ、EV年間150万台規模の達成に向け技術の社会実装を加速するとともに、テスラ・BYD水準の収益性を目指したEV戦略の抜本改革も進行している。

国内市場:補助金格差とシェア拡大の攻防

日本国内ではEV・PHEVの新車販売シェアが約2%台に達したが、BYDへの補助金額が国産メーカーより約90万円低く設定される「補助金格差」が問題視されている。欧米の対中関税強化が中国メーカーの現地生産シフトを促す一方、各メーカーの価格・技術・政策対応力がEV覇権の行方を左右する局面に入っている。

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