EV電池市場、2026年6月の構造変化
2026年のEV電池市場は、これまでの「リチウムイオン一強」から大きく転換しつつあります。CATLが4月のSuper Tech Dayで発表したナトリウムイオン電池の量産化計画が、6月に入り具体的な車両搭載のロードマップとして動き出しました。同時にリチウム原料の価格は2026年第1四半期に倍増する局面もあり、価格と供給の両面で電池業界は地殻変動の只中にあります。
CATL×長安「Nevo A06」が拓くナトリウムイオンEV時代
CATLは、長安汽車との共同開発による世界初の量産ナトリウムイオン乗用EV「Changan Nevo A06」を年内発売へ。エネルギー密度は約175Wh/kgに到達し、価格はLFP電池より約30%安いとされます。さらに-40℃でも公称容量の約90%を維持するという寒冷性能は、北方市場やトラック輸送など、これまでLFPが苦手としてきた領域を一気に塗り替える可能性があります。HyperStrongとの定置用60GWh契約も同時に成立し、車載・蓄電の双方で需要は確定済みです。
リチウム価格の乱高下とLFPコスト競争
- 2026年Q1の電池グレード炭酸リチウム価格は約2万6,278ドル/トンへ急騰し、前年同期比で倍以上に。
- 一方で6月時点の中国国内取引価格は1トンあたり約6万500元と前年比37.6%下落しており、地域ごとの需給ギャップが鮮明化。
- LFPパック価格は2025年に約81ドル/kWhまで低下、2026年も下落基調が続く見込み。
全固体電池レースは「2027〜2028年量産」が主戦場へ
日本勢ではトヨタ×出光が2027〜2028年に年5〜6万台分の全固体電池量産を計画。これに対し中国メーカーは2026年2月に0.5GWhのパイロットラインを稼働させ、2027年には2〜5GWh規模へスケールする方針を提示しました。経済産業省も6月2日に蓄電池産業戦略推進会議の参考資料を公表し、国家戦略としての立て直しを急いでいます。
「三層構造」へ向かう電池ポートフォリオ
2026年後半以降は、(1)大衆車・寒冷地・蓄電向けのナトリウムイオン、(2)コスト最適化されたLFP/LMFP、(3)プレミアム・長距離向けの全固体──という三層構造が現実味を帯びます。完成車メーカーは複数化学を組み合わせるマルチケミストリー戦略へ舵を切らざるを得ず、調達と価格設計の柔軟性が競争力の鍵を握る局面に入りました。
参考情報
- CATL is launching sodium-ion batteries in EVs in 2026, aiming for 370+ miles range
- CATL Sodium-Ion EV Batteries Enter Mass Production in 2026
- CATL & CHANGAN Make History with World’s First Mass-Production Sodium-Ion Passenger EV
- CATL secures world’s largest sodium-ion battery order with Hyperstrong
- Q1 2026 Lithium Market: Prices Double Amid Supply Strain
- 参考資料 2026年6月2日 蓄電池産業戦略推進会議
- EV向け全固体電池、2026年登場か 米中勢が日本を猛追
